ワクチンの種類、それぞれの性質について

ワクチンは、「生ワクチン」「不活化ワクチン」「トキソイド」の3つに分けられる。

そもそもワクチンとは、生体に免疫をつける「予防接種」のときに用いられる薬物のこと。

生ワクチン:病原性が弱められたものの、その病原体🦠そのものが含まれたワクチンのこと。自然に罹患するのと同じ免疫をつけることができるが、その病原体が体内で増殖し始めることにより、発熱等を起こすことがある。

例…風疹、麻疹、ムンプス、水痘ワクチン

不活化ワクチン:病原性のない、その病原体🦠そのものが含まれたワクチンのこと。病原性がないので免疫が付きにくく、何回か接種を受けなければならない。

例;インフルエンザ、百日咳、B型肝炎、肺炎球菌(PPSV23)ワクチン

トキソイド:病原体🦠が作り出す毒素をホルマリンで無毒化したもの。病原体🦠そのものは含まれていない。

例;破傷風トキソイド

生ワクチン

生ワクチンは、弱毒化されているものの病原体🦠そのものがふくまれている。

そのため、

メリット:病原体🦠そのものが含まれているため、免疫を得やすい(ワクチン接種回数が他と比べ少ない)。

デメリット:免疫を得るためには病原体🦠そのものが体内で増殖する必要があり、時間を要する。それに伴い、副反応発現期間も長く見積もられており、少なくとも27日以上は次のワクチンを接種できない。また、妊婦に接種できない。

麻疹ワクチン・麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)

麻疹(はしか)・風疹を予防するワクチン。

麻疹ワクチンは、成人なら通常2回接種されている。麻疹罹患者は、1回のみ接種・未接種・接種回数不明の人が多い。

風疹ワクチンは、年代によって接種しているかしていないかが大きく分かれる。特に、1962年4月1日以前に生まれた女性、1979年4月1日以前に生まれた男性は、ワクチン接種の機会がなく、罹患歴がなければ現在も罹患する可能性がある。

妊婦が風疹にかかると、赤ちゃんが先天性風疹症候群という病気を持って生まれる可能性がある。

しかも風疹ワクチンは生ワクチンのため妊婦に接種できないので、周りの人も風疹にかからない環境を作ることが大切。

麻疹ワクチンがない場合は、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種することも可能。

ムンプスワクチン

おたふく風邪を予防するワクチン。

1歳のときに、右手右足やらに打たれるワクチンのうちの一つ。

弱毒化した病原体🦠が含まれているので、免疫を獲得するまで2〜3週間かかり、その間に発熱等が起こる可能性がある。

水痘ワクチン

水ぼうそうを予防するワクチン。

1歳のときに、右手右足やらに打たれるワクチンのうちの一つ。

1回の接種により重症の水痘をほぼ予防でき、2回の接種により軽症の水痘も予防できると考えられている(厚生労働省HP)。

弱毒化した病原体🦠が含まれているので、免疫を獲得するまで2〜3週間かかり、その間に発熱等が起こる可能性がある。

不活化ワクチン

不活化ワクチンの病原体🦠は不活性化されているため、それに感染することはない。

そのため、

メリット:副反応の発現期間が短く(4〜5日)、次のワクチン接種まで6日以上空ければいいとされる。また、妊婦にも使用できる。

デメリット:生ワクチンよりも免疫がつきにくいため、複数回接種したり、アジュバンドと呼ばれる作用を助ける物質を追加する必要がある。

インフルエンザワクチン

インフルエンザを予防するワクチン。

インフルエンザワクチンは、接種後2週間頃から効果が出始め、5ヶ月程度持続する。

そのため、流行する前(11月くらい)に接種することが望ましい。

インフルエンザの型が毎年変わるため、毎年接種することが望ましい。

インフルエンザは、A型とB型が流行するため、インフルエンザワクチンは、この両方の型が含まれている。

ただし、完全に予防できるわけではなく、A型、B型両方かかる可能性があるので、日頃からの予防対策が必要。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌による肺炎や気管支炎などを予防するワクチン。

日本人の高齢者の3〜5%は、この肺炎球菌を常に持っている(厚生労働省HPより)。

また、普段の生活の中で起こる肺炎の原因としては最多であり、発症させないことが大切。

高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチン接種が開始されており、65歳以上の人で、5の倍数の歳の人が定期接種の対象となっている(2023年度までの限定的なものだが、延長する可能性もある)。

ただし、一度PPSV23という肺炎球菌ワクチンを接種したことがある人は、2度目は定期接種ではなく任意接種という形になる。

PPSV23…肺炎球菌の血清型(約100種類)のうち、23種類をカバーしている

PCV13…13種類をカバーしている

トキソイド

病原体🦠により生じる毒素をホルマリンで無毒化したもの。

破傷風トキソイドが代表的なもの。

現在は、4種混合ワクチンの中に含まれている。

4種混合ワクチンとは、ジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)、ポリオ(IPV)が含まれているワクチンのこと。DPTーIPVワクチンともいう。

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